司法書士2.0

時事に関するニュースなどを司法書士業務に関連付けて考察したり、普段の業務を振り返りながら、一歩先の司法書士を目指していくブログです。

改正相続法まとめ

先日、国会で成立した改正民法(相続法分野)が、本日公布されました。(平成30年法律第72号)


法務省のHPでもよくまとまっていましたので、ぜひ見てみてください。


http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html



司法書士業務に影響を与えそうな内容がたくさんありますね。。。

以下に今回の改正の概要を記載しておきます。





【配偶者の居住権を保護するための方策】

①配偶者短期居住権

<ポイント>

ア 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合の規律
   配偶者は,相続開始の時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には,遺産分割によりその建物の帰属が確定するまでの間又は相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日までの間,引き続き無償でその建物を使用することができる。

イ  遺贈などにより配偶者以外の第三者が居住建物の所有権を取得した場合や,配偶者が相続放棄をした場合などア以外の場合
   配偶者は,相続開始の時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には,居住建物の所有権を取得した者は、いつでも配偶者に対し配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができるが,配偶者はその申入れを受けた日から6か月を経過するまでの間,引き続き無償でその建物を使用することができる。


②配偶者居住権

<ポイント>

配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物を対象として,終身又は一定期間,配偶者にその使用又は収益を認めることを内容とする法定の権利を新設し,遺産分割における選択肢の一つとして,配偶者に配偶者居住権を取得させることができることとするほか,被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることができることにする。





【遺産分割に関する見直し】


①配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示の推定規定)

<ポイント>

婚姻期間が20年以上である夫婦の一方配偶者が,他方配偶者に対し,その居住用建物又はその敷地(居住用不動産)を遺贈又は贈与した場合については,民法第903条第3項の持戻しの免除の意思表示があったものと推定し,遺産分割においては,原則として当該居住用不動産の持戻し計算を不要とする
(当該居住用不動産の価額を特別受益として扱わずに計算をすることができる。)。



②遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲
<ポイント>

ア 遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても,共同相続人全員の同意により,当該処分された財産を遺産分割の対象に含めることができる。
イ 共同相続人の一人又は数人が遺産の分割前に遺産に属する財産の処分をした場合には,当該処分をした共同相続人については,アの同意を得ることを要しない。





【遺言制度に関する見直し】


①自筆証書遺言の方式緩和

<ポイント>

全文の自書を要求している現行の自筆証書遺言の方式を緩和し,自筆証書遺言に添付する財産目録については自書でなくてもよいものとする。
ただし,財産目録の各頁に署名押印することを要する。




②遺言執行者の権限の明確化等

<ポイント>

ア 遺言執行者の一般的な権限として,遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は相続人に対し直接にその効力を生ずることを明文化する。
イ 特定遺贈又は特定財産承継遺言(いわゆる相続させる旨の遺言のうち,遺産分割方法の指定として特定の財産の承継が定められたもの)がされた場合における遺言執行者の権限等を明確化する。




遺留分制度に関する見直し】

<ポイント>

ア 遺留分減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとされている現行法の規律を見直し,遺留分に関する権利の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずることにする。
イ 遺留分権利者から金銭請求を受けた受遺者又は受贈者が,金銭を直ちには準備できない場合には,受遺者等は,裁判所に対し,金銭債務の全部又は一部の支払につき期限の許与を求めることができる。




【相続の効力等に関する見直し】

<ポイント>

特定財産承継遺言等により承継された財産については,登記等の対抗要件なくして第三者に対抗することができるされている現行法の規律を見直し,法定相続分を超える部分の承継については,登記等の対抗要件を備えなければ第 三者に対抗することができないことにする。




【相続人以外の者の貢献を考慮するための方策】

<ポイント>

相続人以外の被相続人の親族が,無償で被相続人の療養看護等を行った場合には,一定の要件の下で,相続人に対して金銭請求をすることができるようにする。




●施行期日
 原則として,公布の日から1年以内(平31年7月12日まで)に施行される(別途政令で指定)
 
但し、 

遺言書の方式緩和 → 平成31年1月13日から施行
配偶者の居住の権利 → 公布の日から2年以内(平32年7月12日まで)に施行(別途政令で指定)




また、同時に「法務局における遺言書の保管等に関する法律」も成立していますが、そちらはあらためて別途まとめたいと思います。